君と、世界の果てで
(3)鼓動
「衣装どうします?」
クリスマスライブまで、あと1週間。
練習が終わった後、ファミレスで飯を食っている時だった。
崇文が、ウキウキとした口調で話しだした。
「お前らの好きにしろよ」
「えぇ~?じゃあ、全員サンタで!」
「それは却下だな」
渚の素っ気ない返事に、崇文が不満声をもらす。
しょうがないな、俺等はほぼ普段着でやってたし。
「深音は……ライブの時は、いつもあの格好か?
肩と足が出てるやつ」
「あ、あのチチがでてるやつは、深音の自作です」
「乳って言わないで!」
いつもの漫才が始まった。
若者は面白いなぁ、と渚と顔を見合わせた。
「……顔が派手なんだから、もっと普通でも良いんじゃないか?」
ボソリと言った俺の言葉を、崇文が拾う。
「例えば?」
「は?わかんねぇけど……いつもの格好で良いんじゃないか?」