君と、世界の果てで
階段から、下を見ると。
やはり、深音だった。
「もう!モノ投げないで下さいよ!」
ノートを拾い上げ、階段の下から、こちらをにらんでいる。
「悪い、当たったか?」
「はい。しかも角」
「悪い、悪い」
深音はぷんすか怒りながら、階段を上がってきた。
よしよし、と頭を撫でてやると、機嫌を直したようだった。
「何ですか、これ」
「あぁ?まぁ……つまらないもんだ」
手渡されたノートを、二階の棚に戻した。
「あれ?この荷物は?」
「あ……悪い、言うの忘れてた。
年末まで泊まるから」
「練習?」
「と、片付け」
あぁ、と深音は納得した。
「あの……私も、片付けしようと思って来たんですけど」
「あぁ?」
「私物も置いてあるので……下着とか」
あぁ、そうか。
彼女がいつでも泊まれるようにか。
「そうか……じゃ、適当にやってくれ」
「はい。あの……」
「何だ?」
「お腹、空きません?」