君と、世界の果てで
家に帰ると、深音は荷造りを始めた。
でかいボストンバッグを持って、そこへ私物を放りこんでいく。
下着や、服や、化粧品、歯ブラシ等。
色々な思い出が詰まってるのだろう。
時折、ほろほろと涙を流しながら、のそのそと片付けをしていた。
……こっちも気が滅入る。
「ほら。泣いてたら終わらないだろ」
いつの間にか、励ましながら手伝いをしていた。
「あの……」
「ん?」
「これ、もらっていいですか?」
深音の手には、小さなアルバムらしき物があった。
「一応見せろ」
「だ、ダメ」
「あぁ?」
「は……恥ずかしい写真だから」
何だ、そりゃ。
赤くなりやがって。
はぁ、見たくもねぇや。
「勝手にしろ」
深音はこくりとうなずいて、パラパラとアルバムを眺めて、またはらはらと涙を流した。
あぁ、イライラする。
こんなのは、駄目だとわかってるのに。