君と、世界の果てで
「おはようございます!」
「おう」
崇文が、いつものように元気に挨拶をする。
その横で、渚が手をふった。
控え室には、他のバンドのメンバーもいた。
「あれ……翼じゃん!」
「渚も!」
「おぉ、久しぶりだな」
昔、対バンで同じステージに立った事のある奴もいて、声をかけられた。
「やめたんじゃなかったのか?」
「卒業と就職決まって、暇になったんだよ」
弟が死んだ事には触れず、渚が適当にあしらってくれた。
持つべきものは、友だな。
「歌姫は?」
「着替えてるよ」
「翼さん、驚きますよ」
崇文がニヤニヤして言う。
「……やっぱり、乳が出てるのか?」
ベシッ。
ボソッと言った俺の背中を、後ろから殴る手があった。
「ちちとか言わない!」
聞きなれた声に振り向くと、黒髪を金色に染めた深音がいた。
サラサラとした金髪に、白い花の髪飾りを付けている。