君と、世界の果てで
身につけているのは、白のシンプルなロングドレス。
上から白いファーでできたストールをはおり、金色の薔薇の飾りで留めている。
手には、白いグローブ。
「どうですか?胸は隠しましたよ」
「……妖精のコスプレか?」
「何で、可愛いね、とか綺麗だね、とか言えないの?」
ぷう、と深音が頬を膨らませる。
いや、綺麗だと思ってるけど。
前の黒い衣装より、ずっと良いけど。
そんな事、大きな声で言えるか。
ほら、他のバンドのやつらが、チラチラ見てる。
「綺麗だけど、その顔、もう見飽きたよ」
崇文が笑うと、深音も、紅く塗った唇で笑った。
「始まるみたいだな。出番まで、見物するか?」
「そうですね!」
渚の提案に、崇文が乗った。
「俺は……やめとく」
下手すると、紗江に会ってしまうかもしれない。
「何だ、緊張か?らしくないな」
「久しぶりだからな。ほら、行ってこい」