君と、世界の果てで
「お疲れ様でした!」
……寒っ。
しかし崇文は、ホクホクした顔をしている。
ライブハウスの外は、寒風吹きっさらしだというのに。
本当に、ライトの下で生きていけりゃ、常夏なのにな……。
できるわけねえけど。
観客の反応は、上々だった。
『呪われたバンド』の汚名は、すすげただろう。
「打ち上げ行きましょうか!」
「パス。俺、今から彼女の部屋でラブラブだから」
「渚さぁん!ひでぇ!」
ひでぇ、と言いながら、崇文の顔は笑っていた。
「あ、彼女と言えば。紗江さん、来てましたね」
「あぁ?見てなかった……」
「翼さんも、ひでぇ」
本当だ。
ライブ中は、フットライトもあったし。
深音しか見えてなかった。
なんて言ったら、いい餌食だな。
「翼さん、心広すぎる……」
「はぁ?何が?」
「だって、弟にフラれた女の人を慰めて、一緒にいるなんて……俺には無理!」