君と、世界の果てで
その場が、一瞬で凍りついた。
渚も、紗江の顔を知っている。
深音が、崇文をにらんだ。
「……何だって?」
「え?紗江さんって、陸の元カノですよね?
すぐ、別れたけど」
着替えた深音が、いつもの高い靴で、崇文の足を踏みつけた。
いてぇ!!と、悲鳴が聞こえる。
「そっか。
ま、そのうち俺にとっても元カノになるだろうな」
……知らなかった。
驚きだ。
陸の言葉は、冗談じゃなかったのか。
告白だけじゃなく、実際につきあっていたとはな。
普通なら、ショックで怒るかもしれない。
しかし、俺は意外と冷静に受け止める事ができた。
崇文が、やっと余計な発言をした事に気づき、青い顔ををしてアワアワ言っている。
「気にすんな。
お疲れ。またやろうな」
「は、はい!!ありがとうございます!!」
笑って肩を叩いてやると、崇文は、じわぁと涙を滲ませた。
渚は、微妙な顔で笑っている。
俺が紗江と別れようとしているのを、知らなかったからだ。