君と、世界の果てで
「本当に生きてんだな……」
陸の後ろで恥ずかしがる様子は、ライブの姿からは、想像もできないほど。
歳相応の、普通の女の子に思えた。
背中を、ムズムズするような、奇妙な感覚が通り過ぎる。
「綺麗すぎて、ビックリした?」
「おぅ……いや、お似合いだな」
紗江がこちらをにらむ視線が、後頭部に突き刺さる。
それを感じて、慌てて言い繕った。
ミオは、何か言いたげだったが、陸の後ろから出てこようとはしない。
紗江は報告を終えると、満足気に、
「じゃあ、お邪魔だし、帰ろうか」
と、俺の手をとった。
しかし、この時俺は、ミオしか見えていなかった。
こんなに綺麗な女の子が、実在するんだな、とそればかり思った。
しかし、もう滅多に会う事もないだろう。
そんな彼女との再会が、すぐ待っているとは。
この時の俺は、全く知らなかった。