君と、世界の果てで
「海……家の裏の」
『わかりました』
ぷつん、と電話が切れた。
オイオイ、何だよ。
電波の関係か?
まぁ、用事があれば、またかけてくるだろう。
新しい煙草に火をつけ、一休みして。
また、ギターに手を伸ばした時。
「だーれだっ」
「ぎゃああ!!」
ひやり、と氷のような手が、頬骨に付いて。
思わず、悲鳴をあげてしまった。
「テメェ、この超冷え性が!!」
無理矢理、目を覆う手をつかみ、後ろを振り向いてやると。
「毎回、おどかすんじゃねぇ……」
やっぱり、深音が立っていた。
いつもの靴ではなく、ゴム底のブーツだから、足音を消せたんだな。
「翼さん、痛いから離して」
「っ、悪い……」
言われて初めて、握ってしまった手を離す。
「来るなら、先に連絡しろよ」
「それじゃ、面白くないじゃないですか」
「いなかったら、どうするつもりなんだよ」