君と、世界の果てで
俺のギターに合わせて、いつものロックより、優しく、柔らかく。
英語の歌詞は、時々適当にごまかして。
心地よく、耳に響く。
歌声に飲まれて、羊水の中の赤ん坊のように、揺らされる。
気持ちがいい。
いつまでも、こんな時間が続けばいいのに。
「っ、ぷしっ!」
……そんな俺の気持ちは、小さな破裂音で、日常に戻された。
「ははっ、可愛いクシャミだな」
「すみません」
ズル、と鼻をすする音が聞こえる。
「寒いんだろ。戻るか」
「……はい」
ケースにしまわれるギターを、名残惜しそうに眺める彼女の背中を押した。