君と、世界の果てで
今度は、ほっぺたをつねってやった。
コイツ、完全にマゾだな。
俺のサドの血が沸くぜ。
冗談はさておき。
俺は、ある事に気づいた。
「……あぁ?」
「何ですか?」
「コイツ……見覚えがある」
ドラムの男の写真に目が奪われた。
ライブの写真か、少しボヤけている。
「ライブで見ましたか」
「いや……他でも、どこかで……」
「んー?こっちはどうですか?」
崇文は、メンバーのブログを載せたページを開いた。
何ヶ月か前のページを見ていく。
「あ、この方がわかるでしょ。
陸が死んだとたんやめちまった、薄情モノですよ」
現れた写真を見て。
思わず、あっと声を上げた。
黒いロン毛の男。
一重まぶたの、ハッキリしない顔。
間違いない。
海辺の家まで、深音をつけたストーカーだ。
「コイツ……名前は?住所は?」
「えっ?な、何で?」