君と、世界の果てで
崇文と渚が、こちらを見て、ニヤニヤと、しはじめる。
「いつの間に、二人で逢い引きするようになったんだ?」
「何?いつ?デート?」
「実は、少し前から……あたし達、ラブラブで」
「嘘をつくな、嘘を!!」
この、小悪魔が!
「ありゃあ……バンドのイメージと違うだろ」
「だから、アレンジして」
「そのアレンジを、誰がやるんだよ」
「翼さんに決まってるじゃないですか」
「マジかよ……」
頭を抱えた俺を無視して、渚が深音にどの曲かを聞いて、うなずいた。
「いいかもな。こいつ、昔はクラシックをパンクにアレンジしたりしてた」
「渚、余計な事を言うな」
「良いじゃないか。俺も聞きたいな、久しぶりに」
「じゃ、決まりで!」
崇文がまた、ホクホクした顔をした。
こいつは、バンドが進化するのを無邪気に楽しんでいる。
渚が、戸惑う俺の顔色を見て苦笑した。