君と、世界の果てで
「1から作曲するわけじゃないだろ」
前のバンドをやめた理由を知っている渚は、優しく言った。
「だけど……約束はできねぇよ。
間に合わないかもしれねぇし、できないかもしれねぇ」
「そん時は持ち歌をやりゃいいさ」
「翼さん、お願い」
うっ。
年下二人組の上目遣いのお願いポーズ。
生まれつきの長男が、逃れられない技だ。
「わ、わかった……でも、期待するなよ」
「やったー」
はあぁ。
また乗せられてしまった。
バカだ、俺は。
……まぁ、いいか。
深音が、嬉しそうに笑ってるなら。
それで、良いとしよう。