君と、世界の果てで
角を曲がるが、誰もいない。
車が通りにくい、細い道。
だから深音は、いつも広い道で降ろすように言ったのだ。
彼女の姿を探し、勘で走る。
すると。
住宅街の中にぽつんとある、小さな工場と駐車場の間に、道があるのを見つけた。
その細い道は、両側がセメントの壁で覆われ、奥まで行けば死角になってしまう。
まさか、と思い、奥に進む。
「深音!!」
不安になり、名前を呼んだ。
すると。
道の突き当たりから、悲鳴が聞こえた。
「!!」
声のした方に走る。
突き当たりまで行くと、黒い影が、彼女に覆い被さっているのを見つけた。
足音に気づいて、影がこちらに振り向く。
「テメェ!!」
腕をつかんで、立ち上がらせる。
影の下には、光が。
白い顔の、彼女がいた。
深音のコートのボタンが取れ、スカートが乱れている。
青い顔で、涙を浮かべて震える様子を見て。
頭に、血が昇る。