君と、世界の果てで
言われて、思い出したくらいだ。
深音は、俺の言葉を聞き終わらないうちに、わぁわぁと泣き出した。
何とかなだめようと、肩を抱き、頭を撫でる。
しかし、冬の夜空の下はどうしても寒い。
「深音、ちょっと我慢しろ」
背中に巻き付けられた深音の腕を、首に移動させ。
その体を、持ち上げた。
「車に移動するからな」
深音は泣いたまま、コクコクと首を縦にふった。
彼女の体は、嘘のように軽い。
こんな状態を見られたら、俺が誘拐犯に間違われそうだ。
しかし運良く誰にも見つからず、車も駐禁シールを貼られていなかった。
助手席に降ろそうとしたが、離れようとしないので、一緒に後部座席に乗り込む。
「悪かった。家の前まで送れば良かったな」
深音は、今度は首を横にふった。
「警察に行くか?」
また、横に。
「じゃあ、落ち着いたら家に帰ろう」
すると、また横に首をふった。