君と、世界の果てで
深音の母親は、茶色の長い髪をゆるく巻いていた。
薄手のニットに、膝丈スカート。
俺の母親なんか、ずっとチュニックで腹と尻を隠しているのに。
彼女は19歳の深音に劣らないスタイルをしている。
見とれていると、深音が俺の肘をつねった。
「ダメですよ、人妻ですからね」
「はぁっ!?別に、そんな風に見てねぇよ!」
「嘘だぁ。いやらしい人!」
「深音、よしなさい」
天然の木でできたリビングのテーブルに、静かにコーヒーを置かれた。
そのまま、向かいのソファに腰かけた。
「昨日は、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げられ、胸元から下着が見えそうになった。
「い、いえ……そんな」
いかん。
妙に緊張してしまう。
深音の母親は、多分、ハーフなんだろう。
娘よりも、派手な顔だ。
「いつも、送ってくださっていたんですよね?
私、知らなくて……すみません、本当に」
「いえ、気にしないでください」