君と、世界の果てで
どうして男は美人に弱いんだろう。
「深音、お出かけするんでしょ?
着替えてきたら?」
「はぁい。翼さん、ママに手出さないでよ」
「出すか!」
というか、それ、部屋着だったのか。
白いモコモコのワンピースを着た深音は、うさぎの耳がついたスリッパでぺたぺたと階段を上がっていった。
……派手な親子だなぁ。
「堺沢さん」
「は、はい」
「あの子は、扱いにくいでしょう?」
「いえ、そんな事ないですよ。
弟がいたんで、年下の扱いは慣れてます」
深音の美しい母親は、悲しそうな顔をした。
「弟さん、亡くなられたもの、寂しいわね」
「あ、すみません。気を使わないでください」
「大変な時に、深音の相手をしてくれて、ありがとう」
母親は、悲しい顔を崩さない。
「弟さんにも、お世話になりました。
あの子は……少し、ワガママで、大変だとは思いますが、これからもよろしくお願いします」
「あ、こちらこそ……」