君と、世界の果てで
「最近、明るい顔をしてると思ったんです。
きっと、貴方のおかげね」
「いえ、そんな事……」
「素敵なベーシストが見つかったって、それは喜んでいますよ」
「は、はは……恐縮です」
深音の母親は、やっとふんわりと優しく笑った。
……あいつ、俺の事をどんな風にしゃべったんだ。
早く着替えてこいよ。間がもたねえよ。
「あの子……普通の子と、少し違うから。
ご迷惑おかけしますけど……どうか、仲良くしてやってください」
「いえ、迷惑なんかじゃ、ないですから……」
「どうか、あの子の望む通りにしてやってください」
また、頭を下げられてしまった。
どれだけ過保護に育てられたんだ?あの姫は。
「お待たせしました」
深音本人が階段を降りてきて、会話は中断された。
「お待たせしてすみません。
行ってやってください」
「あ、はい……失礼します」
「よろしく、お願いします」