君と、世界の果てで
「誰が王子だよ」
「翼さんに決まってるでしょ」
笑ってんじゃねぇ、とハンバーガーを食べる深音を小突く。
深音は、何故か嬉しそうに笑った。
「この後は?」
「世界の果てに、駆け落ちでしょ?」
「それは、もう良いって」
この王子様が好きなの。
そう言われた時、不覚にもドキリとしてしまった。
クソ、俺だけバカみたいだ。
深音は、何も知らずに、自然に俺の手をとり、ひいた。
まだ見てないからと、寒空の下のイルカショーに付き合わされた。
正直、あまり興味のなかった水族館は。
深音のおかげで、記憶に残る場所になった。