君と、世界の果てで
「離してよ。キモチワリィ」
「……あぁ?」
体をパッと離して、陸は部屋を出ていってしまう。
「あぁ、面白くねぇ。せっかくからかいに来たのに」
「はぁ!?」
「紗江を悪く言うな!!
って、怒るの見たかったのになぁ」
「っ……テメェ、陸!」
階段を降りていく陸の後を追って、頭をはたいてやった。
「いてぇ!」
「お前が悪い!」
ちぇ、と言いながら、台所へ逃げた陸は、ガサゴソと戸棚を漁る。
「何してんだ」
「ん?祝酒でもしようかと思って」
「昼間から、何言ってんだ。
腹が減ってるなら飯を食え」
「言われなくても」
陸は、昔からのイタズラ小僧の顔で笑った。
ほっと、胸の空気が抜ける。
図星を突かれまくって、どうしていいかわからなかったからだ。
「お前こそ、彼女と仲良くしてんのか?」
「ふあ?」
急に話しかけられて振り向いた弟は、菓子パンをほおばっていた。