君と、世界の果てで
「……大げさだな」
ギターを片手に、頭を撫でてやると。
ふわりと、花の香りがして。
深音が、胸に飛び込んできた。
予期せぬ衝撃に、足がもつれ、ベッドに腰かける形になってしまった。
ギターが床に転がり、音を立てる。
「おい!おどかすなって!」
もうダメだ。
これ以上触られたら、理性がもたない。
体を引き剥がそうとした時、彼女が顔を上げて、口を開いた。
「あたし、話さなきゃいけない事があるの」
黒い瞳は、濡れていた。
それが涙だと気づき、胸がしめつけられる。
戸惑う俺の目を見て、彼女はきっぱりと、言った。
「あたし、本当は、陸の彼女なんかじゃなかったんです」
と。