君と、世界の果てで
「それは、智じゃなくて」
「違う人です。名前も知りません。
最初は、やたら贈り物が届くようになって。
次第に、付き合ってほしいというような内容の手紙が来たりするようになりました」
ムカムカと胃に苛立ちが昇ってくる。
もちろんストーカーは許せない。
それだけじゃない。
何故メンバーは、あんな写真をネットにさらしたり、派手な衣装で舞台に立つ事をやめさせなかったのか。
バンドの人気が出れば、それで良いのか。
「その内容は、どんどんエスカレートして……
待ちぶせされたり、盗撮した写真を送りつけられたり、しました」
「……陸は何をしてたんだ……」
「だから、陸はあたしと付き合ってる事にしてくれたんです。
この家に、住めば良いって。
合鍵をくれました」
「合鍵……」
頭に、陸の顔と、返却された合鍵が浮かんだ。