君と、世界の果てで
陸は買い物袋いっぱいに、
母親が買い置きしておいた食料品を勝手に入れて、帰っていった。
両親が帰ってくるまでいればいいのにと提案したが、夕方からバイトだからと、断られた。
一人になったリビングで、ソファに座る。
「っとに、あいつは……」
陸にとっては、冗談だったらしいが。
その言葉の1つ1つは、俺の胸に突き刺さったままだった。
こんなタチの悪い冗談は、初めてだ。
考えたくない事を、考えさせられる。
クソ。
今度会ったら、もう一発殴ってやる。
「……昼寝すっかな……」
何も考えないで、寝よう。
そう思って、部屋に戻ると。
コツン
ドアに、堅い何かが当たる音がした。
「……陸のか……」
黒いスマートフォンが、床に落ちていた。
「アブねぇ……踏まなくて良かった……
傷ついてねぇかな」
壊れていないか確かめるため、電源ボタンを押す。
現れた待受画面を見た途端、喉から、げっ、と、自分でも聞いた覚えのない音がした。
「恥ずかしいやつ……」
そこには、ミオの写真があった。