君と、世界の果てで


「……ひかないで下さいね」


「……何が?」


「あたし……初めてなんです……」



一瞬の沈黙。


彼女は、バツが悪そうに目を反らした。



「はぁっ!?」


「うわぁ、やっぱりひいた!」


「いや、ひいてない……驚いただけだ」



嘘だろ。


客観的に見ても、こんなに美人なのに。



「高校の時、彼氏とかいただろ?」


「ほとんど行かなかったから……ナンパの類いは、嫌だし」


「出会いが、無かったと……」


「そういう事です」



何だかエロい雰囲気が、一気にほのぼのしてしまった。



「……もしかして……キスも……」



彼女は、返事の変わりに睫毛を伏せた。



「早く言えよ……」


「だ、だって突然するから」


「……だよな。悪い……」



ホームページの写真といい、歌ってる時の雰囲気といい、どこか官能的で、無知だなんて思わないから。


思いっきり濃厚に、してしまったじゃないか。


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