君と、世界の果てで
体をそっと離すと、彼女はまた驚いた顔をした。
「やめるの?」
体を起こし、そんな事を聞く。
「今日はもう、じゅうぶんだろ。
新しい事は、ゆっくり覚えるもんだ」
リモコンをつかみ、明かりを付けようとした手を、深音に止められた。
「……そんなの、やだ……」
「は?」
「……処女とはできないって言うの?」
「んな事、言ってねぇだろ……」
実は深音がいつもより子供に見えて、慎重になってしまった事は言わないでおこう。
ほら、頬を膨らませた顔は、ますます子供だ。
「もう、10時だ。帰らなきゃ」
「やだ、やだ。泊めて」
「バカ。お母さんが心配するだろ」
「何よ、さっきは、しようとしたくせに!」
「うっせえな、騒ぐなよ!」
「……バカバカバカ!!」
深音は、まだベッドに座っていた俺に、罵声を浴びせながら飛び込んできた。