君と、世界の果てで
手にあったリモコンが、ぽとりと床に落ちた。
「ママは、承知してるから」
「あぁ?」
「泊まってくるって、言ってきたから」
「……だからあんな大荷物なのか」
深音の母親の言葉を思い出す。
あの子の言う通りにしてあげて下さい、と。
「お前……親に、ヤってきますって宣言するなよ」
「そ、そんな事、言ってない!」
「一緒だろ……」
しょうがねぇな、と頭を撫でてやる。
すると深音は、反抗心むきだしの目で、俺のネクタイに手をかけた。
「おい」
しゅる、とネクタイが取り去られた。
続いて、胸のボタンに指をかける。
「無理すんなって……」
さすがに恥ずかしくなってしまい、深音の手を止めた。
「妹扱いはやめて。好きだって言ったのは、嘘なの?」
「嘘じゃねぇよ」
「じゃあ、してよ」
彼女の細い腕が首に回されて、身動きがとれなくなる。