君と、世界の果てで
まるで手だけが勝手に動くようだった。
深音を起こさないように外に出て、ギターで確認して。
パソコンの作曲ソフトに打ち込もうと帰ってきたら、おいてきぼりをくらった深音に、めちゃくちゃキレられた。
「起きたらいないなんて、ありえない!!」
と、泣きそうになってたな。
……いや。
思い出してる場合じゃない。
平静を装わなければ。
すでに傷がふさがり、陸の指輪をした右手で、ピックを拾おうとした瞬間。
渚が俺をのぞきこんだ。
「……何だよ」
「お前……隠すなよ、水くさい」
「な、なな、何が?」
「デキたんだろ」
渚が、ニヤリと笑って、俺の肩をぽんとたたいた。
「だ、誰が誰と?」
「お前とそこの歌姫に決まってんだろ」
「どうして!?」
深音が、代わりに声を上げた。
崇文が、えっマジで!?と目を丸くする。
「な、何を根拠に」
「出てるぞ、桃色オーラが」