君と、世界の果てで
ライブの前後、どちらかの写真だろう。
ステージ衣装の彼女は、上目遣いで、こちらを見ていた。
ていうか、おい。
胸を撮りたくて、上から撮ったんじゃねえか?コレ。
金髪の頭は画面からはみ出しているのに、
白いバストや、その深い谷間はしっかりと収まっている。
「どうすっかな……」
届けてやればいいのだが、今からバイトだと言ってたし。
いくらなんでも、気づいて取りにくるだろう。
愛する彼女の待受画面をなくしたのだから。
それを大事に、机の上に置く。
まるで、女の子を扱うようだと思った自分が不思議だった。
すると、不意に。
ビーッ、ビーッ
と、自分の古い折りたたみケータイが震えた。
画面を見ると、紗江の名前がある。
俺は何故か、浮気現場を見られたような、気まずい心を感じて。
息を整えて、電話をとった。
「おう。どうした」
『今どこ?
私、翼の家の近くにいるんだけど……』