君と、世界の果てで


練習が終わったあと、深音が崇文に声をかけた。



「ホームページの写真、変えてもらえない?」



と。


ホームページの管理や、ライブハウスなどとの交渉は、全て崇文が請け負っている。


実は、陸が亡くなる前から、リーダーはこいつだったのだ。全然それっぽく見えないけど。



「あ、そうだね。

クリスマスライブの写真を使おうか」


「うん、お願い」


「それか、いっそのこと、一新する?

メンバーも半分変わったことだし」



崇文は深音の後ろに立っていた俺に目配せをした。


深音に気を使って、智のプロフィールや日記を消そうとしているのだとわかる。



「うん……おまかせする」


「あいよーん」



陽気に手をふって、崇文はバイト先へと歩いていった。


うん、あいつはドMだけど、良いやつだな。



「帰るか」


「うん」



もう、ほとんど俺たちの会話の中に敬語は無くなっていた。


いつものように車に乗り込む。


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