君と、世界の果てで
その顔が可愛かったので、ごほうびにキスをしてやった。
……いつの間にか、立場が逆転している。
少し前まで、姫と家来だったのに。
彼女の首筋に顔を寄せると、俺がやった香水がふわりと香る。
新しい、彼女の香り。
その香りごと抱きしめると、何ともいえぬ征服感に満たされる。
「翼さん、苦しい……」
顔を上げた彼女は、また口づけられるのを待っている。
さっきとは違う、行為に以降するための長いキスを。
この前の夜は、初めてにも関わらず、何度もお互いを求めてしまった。
新しい香りで、新しい喜びを知ってしまった彼女。
その喜びは、回を重ねる毎に増していくようだった。
もしかして、泊まりたいというのは、この為じゃないかと、バカな事も考える。
情けない事に、口下手な俺は。
こんな時くらいしか、素直に想いを吐き出せない事を。
彼女は、もうわかっているのだろう。