君と、世界の果てで
すると、深音は今度は寂しそうな顔をした。
何か気に障る事を言っただろうか。
「……その気になったら、上京して、メジャー目指すよ。
そしたら、遠恋だね」
「なんで」
「だって、東京まで、新幹線で3時間だよ」
「お前がその気になった時は、俺も行ってやるよ」
「えっ!」
深音は、目をこれ以上できないくらい大きくした。
「なんだよ」
「嘘でしょ」
「嘘じゃねぇよ。
俺はお前のボーカルでベース弾いてる時が、一番……生きてるって、実感する」
「翼さん……」
大きな目に、涙が浮かんだ。
「両親もまだまだ元気だしな。
ダメだったら、帰ってきて建築屋の嫁になりゃいいさ」
「そ、それって……」
「あぁ?」
「な、何でもない……」
深音は、顔を赤くして、また嬉しそうに微笑んだ。
「とりあえず……学校だけは、卒業しようかな」
「おぅ、課題ちゃんとやれよ」