君と、世界の果てで
「……何だ」
「紗江さんと智って、知り合いなんですか?」
「はぁ?」
智はともかく、何で今更紗江の名前が出てくるんだ。
しかし崇文に、ふざけている様子はない。
「聞いた事ないな……
智は、俺と同い年だっけ?」
「そうです」
「なら……住所が近いから、小学校や中学校で知り合いだった可能性は、あるな。
それがどうかしたか?」
「俺、見たんです」
「何を?」
「昨夜、バイト先のバーで。
智が客として来ました。
俺は未成年って事隠してバイトしてたから、すみっこで、なるべくバレないようにしてたんです。
しばらくしたら、紗江さんが来て……智と一緒のテーブルに座りました」
「何で、紗江が?」
「わかりませんよ。
俺は翼さんみたいに耳が良くないから、小さい声で話されたら、何もわからない」
崇文は、頭を抱える。
俺の背中に、冷たい汗がつたった。