君と、世界の果てで
陽気な父親は、リビングに戻って、母親と大声で話をしていた。
「母さん!翼君は本当にイケメンだな!背も高くて立派だった!」
「だから、そう言ったでしょう」
「いやぁ、俺が若い乙女なら、惚れちまうね」
「私も、もう少し若ければねぇ。深音なんかに負けないのに」
「ん!?じゃあ、俺達家族でライバルだな!」
ガハハ、ウフフ、と笑い声が聞こえる。
深音は赤くなり、二階の部屋に俺を押していった。
「……楽しそうだな」
「ごめんなさい、うるさくて……で、話って?」
案内された深音の部屋は、6畳半くらいの広さだった。
着ているものと同じように、少しでもお姫様っぽくしたかったのだろうか。
安そうなレースのカーテンや、個人のベッドにはいらんだろうと思う天蓋。
家具はロココ調だかアールデコだか、とにかく華美だ。
机の上に、俺がやった香水の瓶が、大事そうに置かれていた。
深音自身は、部屋着の温かそうなワンピースを着ている。