君と、世界の果てで
「や、やぁ。もう帰るのかい?」
ニコニコした顔で立ち上がった父親の後ろには、赤い顔の母親までいる。
「ちょっと!!何してるの!?」
「いや、偶然通りかかっただけさ」
「ここ突き当たりだけど!!」
「ハハハ、気にするな!
金曜が楽しみだな、深音!」
……完全に聞き耳立てていやがったな、この夫婦は。
急激に顔が熱くなる。
「パパ、そうじゃないでしょ!
二人とも!」
「ママ……」
深音の母親は、真剣な目で俺達を見つめた。
ああ、怒られる。
すみません。
どうにも我慢できなくて。
結婚前に、娘さんと契ってしまいました。
心の中で謝っていると。
「避妊はしっかりね!」
と、親指を立ててウィンクされてしまった。
「ママ!!」
「ハハハハハ、ママ、間違いないや、ハハハハハ!!」
ああ、深音の母親のイメージがガラガラと崩れていく……