君と、世界の果てで
ライブ2日前。
「……!?」
明日の夜から深音が来るからと思い、掃除をしていた時だった。
ケータイが鳴って、それが思わぬ相手からである事に、戸惑った。
ディスプレイには、見覚えのある番号。
二年もつきあっていたのだから、データを消去しても頭には残ってる。
それは紗江のケータイ番号だった。
「……はい」
『良かった。番号変わってなかったのね』
「あぁ……どうした?」
間違いなく、紗江の声だ。
平静を装いながら、背中に冷たい汗がつたうのを感じた。
『今から、出てこられない?』
「今から?電話じゃできない話か?」
『ううん、久しぶりに会いたいから』
なんという事もないように、紗江が言う。
「わかった……」
指定された場所に、車で向かう。
そこは、付き合ってる時によく行ったカフェだった。
「チッ……」
途中で、煙草がなくなってしまった。
一昨日からイライラして、吸いすぎたせいだ。
どのみち、あのカフェは全席禁煙だったか。