君と、世界の果てで
あきらめてそのまま待ち合わせ場所に向かった。
カフェに入ると、紗江は一人で、昔と同じように紅茶を飲んでいた。
昔と言っても、まだ1ヶ月くらいしか経ってないが。
彼女は俺に気づくと、軽く手をふった。
「久しぶり」
「おう……」
「本当に来てくれるとは、思わなかった」
「お前が呼んだんだろ」
コーヒーを注文すると、すぐに運ばれてきた。
「変な格好」
「ああ……急いでたから」
失礼な。
俺はもともと我慢して、お前といるときは無難な服を着ていたんだ。
それは、言わないでおいた。
紗江は、微笑んで、紅茶を一口飲んだ。
相変わらず、美人だ。
だけど、浮かれる気分には到底なれない。
黙っていると、紗江が静かに口を開く。
「……新しい彼女……深音ちゃんは、そういう格好が良いって……?」
ぴきり、と空気が凍る音がした。
そんな、気がした。
「……嘘つき」
責めるような視線に刺される。