君と、世界の果てで
「でも、パパがいたら、エッチな事ができないよ?」
「そりゃ困るな」
クスクスと、深音が笑う。
夕食の買い物をして、家に帰ると、深音は荷物からエプロンを取り出した。
白い、フリルが満載のエプロンを。
「今日は、あたしがやるね」
「はぁ?できんのか?」
「大事なライブの前に、ベーシストが指を怪我したらどうするの?」
何を今更、と思ったが、やけに楽しそうなので、出かけた反論を飲み込んだ。
「メニューは、予定通り、お鍋ですけど」
そう言って、深音は野菜を洗ってザクザク切りはじめた。
あっという間にまな板がいっぱいになり、困っている。
俺は黙ってザルを差し出した。
「あ、これこれ」
そして、作業再開。
したは良いものの……
「しいたけの軸、切れよ……」
「わ、わかってるよ」
「ついでに、糸蒟蒻をそのまま入れたら、さすがに長いと思うんだが」