君と、世界の果てで
目じりにボリュームを持たせたつけまつげと、目元を黒く強調したメイク。
唇は、いつもの真紅。
男性3人は、シャツにネクタイと、この前とあまり変わらない。
崇文なんか、高校生のようだ。
しかしその崇文に褒められた深音は、嬉しそうに笑った。
それが何より、俺達の心をほぐした。
午後7時。
1組目のバンドが始まり、少し会場を見てきた崇文が戻ってきた。
「ダメだ。全員怪しく見える。
智はいなかったみたいだけど」
「だよな……」
崇文がため息をついた。
「とにかく、何故か今日はすごい人で……
あ、深音、良いこともあったよ!」
「えっ、何?」
「前からのファンが、ちらほらいて、ちょっと話してきたよ。
皆、戻ってきてくれてるんだよ!」
うそ、と深音は口元を押さえた。
よほど嬉しいのか、目には涙が浮かんでいる。
そんなに喜んでいいものか。
あの書き込みは、陸の熱狂ファンだという可能性もあるのに。