君と、世界の果てで
深音はいつもの顔で、俺をのぞきこんだ。
「なんでもねぇよ、なぁ?」
「う、うん」
崇文はひくひくと頬をひきつらせて笑った。
まさか、そんな事があるわけない。
万が一あったとしても、発覚するのはもう少し後のはずだ。
付き合ってひと月も経ってないんだから。
落ち着け、俺。
「お疲れっす」
「あ、お疲れ様でした」
タイバンの他のバンドメンバーが、ぞろぞろと外へ出ていく。
どうやら、ライブは全て終わったらしい。
「あ、WORLDS ENDさん」
「今日は完全に負けたよー。
客、1番ノってたもんなぁ」
他のバンドのメンバーに話しかけられ、適当に相手をする。
崇文は、ライブハウス側に挨拶に行き、すぐ戻ってきた。
「タカフミ、ミオちゃん紹介しろよ」
「マジ可愛いんだけど」
男達に囲まれ、深音はサッと俺の後ろに隠れた。