君と、世界の果てで
「ダメだよ。ミオ、こんな男前の彼氏がいるもん」
「バカ、崇文!」
アホか!
いきなり公表してどうする。
あんな書き込みがあったばかりなのに。
皆が俺たちのことを知るようになれば、あの犯人がわかりづらくなる。
崇文は、しまった、という顔をした。
「え……マジ!?ツバサさんが!?」
あぁ、俺もすでに地元バンドマンの間で有名なんだった……。忘れてた。
「じゃあ、かなうわけないよな。
お前の百倍テクニシャンだし」
他の男が、笑いながら口を出した。
……ベースの話だろ。
紛らわしい表現するな!
「そっかぁ、残念。
じゃあ、またタイバンできるといいね」
「失礼します、ツバサさん、ナギサさんも」
男達は、あっさりと帰っていった。
そうだよな、普通の男はあんまり他人の色恋沙汰になんか、興味ないよな。
さっ、と、脳裏に、紗江と智の顔がよぎった。
……やっぱり、あいつらか。