君と、世界の果てで
紗江が、ほっと、ため息をついた。
また陸が、耳元で囁く気がする。
『紗江ちゃんは、安定が欲しいだけだろ』
あんな事言いやがって。
すごく、モヤモヤする。
「また、あんまり会えなくなるのは寂しいなぁ。
趣味でたまに弾く位なら良いんだけど……」
そうじゃない。
俺の欲しい言葉は。
俺は紗江の肩を抱いて、ベッドに押し倒した。
「つ、翼?」
驚いた顔で、俺を見上げる。
「紗江。俺の事、好きか?」
「何?どうしたの?」
「良いから、答えろ」
「……好き、だよ」
ダメだ。
モヤモヤが、消えない。
「……するか」
「い、今?まだ、お昼だよ?」
「関係ねぇ」
乱暴に唇を奪い、柔らかな桃色のカーディガンを脱がせる。
彼女は最初は抵抗するふりをしたが、やがて、いつものように、体を預けてきた。
今まで幾度となく抱いた体が、まるで全く知らない人間に思える。