君と、世界の果てで


厚い雲がどんよりと、太陽を遮っている。


そういえば、天気予報も見てない。


火傷のせいか、何をするのも億劫だった。



「あの、すみません」



ぼんやりしていた俺に、女性が話しかけた。


グレーのスーツを着て、その上にベージュのコートを羽織っている。



「ここ、禁煙ですよ」


「あ……すみません」



差し出された携帯灰皿に、まだ吸いかけの煙草を押し込んだ。



「堺沢翼さんですか?」


「え?はい……そうですが」



女性の目が、嬉しそうにキラリと光った。


30代前半だろうか。


整った顔をしているが、メイクが濃い。


女性は、背後を振り返り、誰かを手招きした。


やがて、数人の男が俺を囲んだ。


彼らはテレビカメラのようなモノを持っている。



「今回の事件の被害者さんですよね。

お話、うかがわせてください」


「はい……?」



何だって?


俺は自分の耳を疑った。


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