君と、世界の果てで


「……早いですね」


「はい。視聴者からの情報提供があったもので。

申し遅れました。

私、こういう者です」



女性に差し出された名刺には、地方のローカルテレビ局のアナウンサーと書かれていた。



「視聴者って?」


「貴方にかばわれた女性です」


「あぁ……」


「貴方は何も悪い事をしてませんよね。

むしろ、市民を助けたヒーローです。

どうかお話を聞かせてください」



女性の熱心な態度に、断れなくなってしまった。


あの時、現場を目撃したファンに、詳しい状況を知ってほしくもあって。


カメラの前に立つ事を、しぶしぶ了承した。


アナウンサーの、警察と同じような質問に、淡々と答えた。


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