君と、世界の果てで
「いないと思います。
いたとしても、逆恨みじゃ、俺たちにはわかりません。
ただの変質者だと思いますけど」
淡々と答えると、アナウンサーは残念そうな顔をした。
「そうですか。
腕の火傷、大変でしたね。ギタリストなのに」
「……ベーシストです」
……馬鹿馬鹿しい。
しかも真面目に反論してしまった。
地味なパートで悪かったな。
早く終わってくれ。
「元通り、ベースは弾けそうですか?」
「多分」
「そうですか……最後に、何か一言」
「……女性に怪我がなくて、何よりです」
アナウンサーは、思いきり作り笑いを浮かべた。
「何て優しい方なんでしょうか!
犯人は絶対に許せません。
近隣住民の皆様、じゅうぶんお気をつけください」
最後は妙に深刻な顔で、締めくくられた。
あぁ、疲れた。
早く帰ろう。
すると、立ち去りかけた俺に、アナウンサーが声をかけた。