君と、世界の果てで
「もし何か思い出したら、連絡をください。
犯人像とか」
「……はぁ……」
「そんなめんどくさそうな顔をしないでください。
バンドの宣伝にもなりますから」
「…………」
この愛想笑いを、今すぐ殴りたい。
こっちが。
深音が。
どんな不安な思いを抱えて生活してるのか。
それでも、歌う事が生きがいだから。
あの細い足で、なんとかステージにふんばっているのに。
何も、知りもしないで。
笑ってんじゃねぇ。
食い物にされてたまるか。
「わかりました。失礼します」
口から出た自分の声は、今までで一番低く、冷たかった。