君と、世界の果てで
頭ではそんな事を思っても、感情は全くついてこない。
首の血管から、ドクドクと緊張した血が流れる音が聞こえる。
「激しい運動はできないけれど。
服薬を怠らなければ、普通の生活ができるレベルでした。
ある程度歳をとる事もできるし、頑張れば出産もできるだろうと、言われていました」
母親の声が震えだす。
「だけど、何ヶ月か前に突然……
発作が起きてしまいました。
貴方の弟さんの葬儀の後です」
「陸の……」
「検査をしたら、病状が悪くなっている事がわかりました。
原因はわかりません。
その時、お医者様に言われました。
助かる方法は、臓器移植しかないと」
とうとう、母親の目に涙が浮かんだ。
「移植手術さえ、100パーセント成功するとは言えません。
それでも、私達は待っている途中です。
例え身勝手と言われようが。
深音に合う心臓が、見つかることを」