君と、世界の果てで
「本当なんですか」
「はい。
昨日は、ライブで疲れた後に走ったりしたから、発作を起こしたみたいです」
「…………」
「驚かれたでしょう……すみません。
深音に口止めされていたものですから……」
まさか。
そんな事が……。
あるわけない。
ありえない。
「堺沢さん、テレビで……
かばった女性が無傷で良かったって、おっしゃったでしょ……?」
「え……?」
「貴方は、そういう方なんです。
無意識に、自分よりも、周りの心配をしてしまう、優しい人」
「……そんな事……」
ありません、と言おうとした。
しかし深音の母親が、とうとうハンカチを取り出し、涙を拭いたのを見て。
何も、言えなくなった。
「深音は、そんな貴方が大好きなんだそうです」
つきん、と今日で一番の痛みが胸をえぐった。