君と、世界の果てで
ザワザワとするのは当たり前だが、アルコールが入って、酔って奇声を発するやつもいる。
一言で言えば、変わった人間が多い。
もちろん、普通の格好の、俺達みたいな人間も皆無ではないけど。
「なんか……うちら、浮いてる?」
「気にすんな。誰も見てねぇよ」
立ちっぱなしのライブは久しぶりの彼女は、はぁ、とため息をついた。
「あの、もしかして、ツバサさんじゃないですか?」
突然、後ろから声をかけられた。
それは、モヒカン頭の……たぶん、高校生くらいの少年だ。
見えないけど。
「そうだけど」
ツバサというのは、確かに、俺の名前だ。
「やっぱり!そうっスよね、リクさんが出るから、見にきたんスね!」
「あ、あぁ……」
リク、とは弟の陸の事だ。
「ツバサさん、俺、ツバサさんに憧れて、ベース始めたんス!
何で、辞めちゃったんスかぁ!?」
「バカ、静かにしろ」