君と、世界の果てで
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「……深音は帰るなり、発作を起こしました」
初めてでは無かったので、すぐに薬を飲ませました。
薬が効いて落ち着いた深音は、ぼんやり窓の外を見ながら、話を始めました。
「ママ、あたし、もう長くない気がするの……」
「何を言ってるの。
そのうち、移植できるわよ」
「いいよ……そしたら、代わりに誰か死んじゃうんだから。
そんなの、この世界にとっては、同じだよ」
「深音……どうしたの?」
深音は、ストーカーに襲われた事を話しました。
そして、貴方に助けていただいた事も。
「この前言ってた……陸さんのお兄さんが?」
「うん。かっこよかったな……」
「のんきねぇ。
明日来られるなら、お礼を言わなきゃ」
「うん、たくさん言っておいて。
あたし、翼さんには、本当に感謝してるから」
そう言った深音に、それまでの不安な表情は、もうありませんでした。