君と、世界の果てで
代わりに、切ない声で、私に言いました。
「翼さんが好きなの……」
「……」
「こんなに好きになるなんて、思わなかった……」
「そう……素敵な人なのね……」
深音はにこりと笑いました。
しかしその顔は、すぐ涙で濡れてしまったんです。
「もっと、早く、出逢いたかった……。
陸より、先に。
元カノさんより先に、あたしが出逢いたかった」
涙と言葉は、次々に零れました。
「もう、ダメなのかなぁ。
好きって言っちゃ、ダメかなぁ?
迷惑だよね。
でも、すぐ死んじゃうんだから、許してもらえないかなぁ?
だって、死んじゃったら、もう言えない。
ただのボーカルじゃ、すぐに忘れられちゃう……
そんなの、嫌だよ……!」
深音は私にすがりついて泣きました。
死を宣告されても気丈に振る舞っていた彼女のそんな姿は、子供の時以来でした。